ある訳無いって

 

否定したかったが、

 

言い回し方から理解出来る。

 

この街で…

 

人が死ぬのは

 

日常茶飯事かもしれない。

 

ある訳無いって言いきれる?

 

それでも俺はまだこの時、

 

ご主人の言った言葉を

 

俄かには信じることが出来なかった。

 





 

繁盛している、でもなく、

 

寂れている、でもないこの街。

 

面白みは無いのかもしれないが、

 

それでいて人を

 

魅了する雰囲気は嫌いではなかった。

 

家族連れは昼間から見ることは

 

流石に無かったが、

 

親子連れの人はとても楽しそうであった。

 

ただ…少し気になることもある。

 

この街に違和感を感じるのだが、

 

それが何なのか…分からないんだけども。

 

 

そういえば…ご主人が再び沈黙し、

 

走行して五分くらいだろうか。

 

建物の横に二輪車を寄せて停まった。

 

到着したのは石灰で建造されたような建物。

 

入口と思われる扉に小さな文字で

 

『HOTEL』と書かれている。

 

それを見なければ、

 

ホテルとは分からない

 

壮観な建物だった。

 

中流階級の人が住む様な…

 

窓や扉に少し小洒落た装飾品が

 

その雰囲気を醸し出している。