丘田は返す言葉が無かった。

 

丘田がやったのではない、

 

と言っても聞き入れてもらえる訳もない。

 

ただ、反省の色を示すしかなかったのである。

 

丘田は次第に思うようになった。

 

周りが悪いのではないか。

 

パスワード管理を丘田は完璧に

 

徹底していたはずなのに、

 

それでも今回のような事態になった。

 

 

つまり、誰かが丘田に成りすまして、

 

ログインしようとしてわざと失敗する。

 

そうすることで、

 

丘田がログインしたい時に

 

出来なくしているのではないか。

 

悪意を持った人間が何処にいるのか、

 

分からない限り丘田に障害が降りかかる。

 

そう思った時、この会社に居ても、

 

いつまでも成長できないと悟った。

 

 

見限った丘田はどうやって

 

会社を辞めようか考えた。

 

誰にも責められない手段で、

 

この会社に居たくないのだから、

 

異動をも断れる状況を示さなければならない。

 

考えた時、鬱病患者に

 

成りすまそうと決意した。

 



 

ネットで調べれば、労働から来る

 

鬱に因る症状は沢山掲載されていた。

 

それらを印刷して読んだり、

 

どういう症状が出ていると報告すると、

 

心療内科医に鬱病と

 

診断してもらえるかを軽くイメージする。

 

会社ではしんどい振りをし、

 

徐々に悪化しているように

 

見せるのにも気を遣った。

 





 

唯一休める場所はトイレの個室。

 

通勤途中でも、

 

家の最寄り駅が一緒の人が居る。

 

だからその人に

 

見られても良いように、ずっと演じ続けた。