「そういえば、今日のニュース見た?」

 

話題を変えるのには、時事が一番である。

 

工藤はきょとんとした顔で自分の顔を見返していた。

 

「見たと思うけど…何のことについて?」

 

「ほら、強盗犯が銀行に立て籠ったって事件。結局、呆気なく犯人は死んだじゃんか」

 

「そんなのもあったかもな」

 

「そんなのもって…工藤、見てないの?実況中継されてたよ?」



昨日の八時頃だったか、家族で久し振りに揃って夕飯を食べていた時のことだった。

 

速報で字幕によるニュースが表示され、親がテレビのチャンネルを変えて見ることになったのだ。

 

強盗犯が銀行に立て籠ったまま、銀行員を人質として

 

今に至るその現場を、ヘリから撮影するカメラが中継していた。

 

犯人は複数犯で、計画的犯行であることや人質は

 

既に何人が犠牲となっていることが伝えられる。

 

その一方で、犯人の顔写真と名前が判明し公開されるなど、

 

緊迫感が中継されたテレビ番組となっていた。



しかし、幕切れはあっという間だった。

 

犯人グループの銃が暴発したり、様々なトラブルが起こる中、

 

警察が突入し建物の中に居た人質は救出されたのだ。

 

突入する前に撃たれた人質らは皆、助からなかったという。

 

後味の悪い、何だかやりきれない事件だった。