「無理無理、衛の居眠り癖はもう治らねえよ。中学の時からそうだろ?」

 

工藤とは中学一年生の時からの同級生だ。

 

そう思うと、もう付き合いはもう四年目にもなるのか。

 

おかしなものだと思い、自然と相好を崩す。

 

工藤がふと何かに気付いたのか、

 

自分の制服の一点を見つめていた。



「それ、お前の…ミカンの毛だよな」

 

工藤の見つめる一点に目をやる。

 

右ポケットの胸元の所に、金色の五センチくらいの毛が制服に付いていた。

 

「ああ、そうだな」

 

「どうして、それが?」

 

「多分、昨日衣替えしたからだろうな。

 

帰宅するなり親に『手伝え』って言われてさ」

 

「そっか…」

 

工藤の表情は引きつっていた。

 

どちらかと言えば、

 

無理に笑顔を作って見せていたのかもしれない。

 

それが、心なしかとても切なかった。



ミカンとは飼っていた春日丘家の猫のことである。

 

ベンガルという品種で、この猫が切っ掛けで

 

工藤と仲良くなったと言っても過言ではない。

 

野性味が濃い品種だから人懐っこい訳が無いのだが、ミカンは逆であった。

 

構ってほしいと、膝の上に乗って来て甘えるのだから、

 

今から考えると本当に変わっていたと思う。