「最近、犯罪者の変死が問題になってるんだったよな。
あれ、俺のせい。
俺がアイツらを葬った。
強く願うと、その想いは届くらしい」
言い方は柔らかいが、その言葉には狂気が混じっており、背中に悪寒が走った。
「衛が昨日見てたテレビ。
立て籠もり犯も俺が殺した。
勿論、念じるだけで殺せるんだから証拠はない」
工藤の言葉に淀みが一切見られなかった。
それは真実を語る時の口調。
数年彼と過ごしてきた時間から、それ位は理解している。
だからこそ、今、目の前に居る工藤の存在が信じられなかった。
気付けば体が小刻みに震えている。
直感的に彼が悪だと、自分の頭が理解していた。
「蚊も…犯罪者も…ここで俺達を脅していた人間も…お前が殺したってのか」
「そうだよ」
今日一番の晴れやかな表情で工藤は肯定した。
今まで隠していたことを自分に話せて、心のつっかえが取れたような、笑顔。
犯罪者であり、自分の友達。複雑な心情だったが、もうどうでも良かった。
三年生の教室がある二階へと向かう階段の手前で、工藤がふと足を止める。
どうしたのかと思っていると、彼は頭を下げて来た。