「俺も紳士だよな。ゴミ処理を人の目に付かない所でわざわざやってやるなんてよ」

 

何が面白いのかは分からないが、男は肩を上下に弾ませ、低い声で笑っていた。

 

男の姿を見て息を呑む音が聞こえる。

 

それもそのはず。

 

男の服に飛び散った赤い血が、一人の死をまざまざと物語っていたのだ。

 

クラスメイトの何人かは声を殺しながら泣いていた。

 

彼と親しかった人でないクラスメイトも泣いている。

 

人一人の死を前にして、その重さが心に圧し掛かっているのだろう。

 

それを良しとしない人は、この教室内に唯一人。

 

その人物は首を上げて目線を下にした。



「泣くな、鬱陶しい。お前らも殺すぞ」

 

攻撃的な視線。

 

見下してくる男の表情が本気だと物語っていた。

 

泣くのを止めろと言われたところで、この状況下で泣くのを意識的に出来る人はなかなかいない。

 

予想通り、女子は泣くのを堪えようとする程、涙が溢れ出てくるようだった。

 

「よし、分かった。お前ら――」

 

男が銃で前に出て来い、と指図しようとした時だった。

 

銃声が教室内に響き渡る。



クラスの女子は、無事。男子も、無事。

 

銃弾が捉えたのは、男自身だった。

 

男の蟀谷を綺麗に射抜かれていたのだ。

 

銃弾によって蟀谷に出来た穴からは血が噴き出し、男は無言のまま大の字に倒れた。

 

クラスメイト全員、何が起こったのか分からず、悍ましい光景を目にする。

 

その銃声を聞いて駆け付けた男の仲間が教室へ入って来た。

 

「おい!しっかりしろ!!」

 

そう言って駆け寄ろうとした男の仲間は、足を滑らせ頭を強打した。

 

その隙をついて、誰かが男に馬乗りになった。

 

それは先程まで自分の横に居た、工藤だった。